江戸べっ甲について

江戸べっ甲の素材は、ウミガメの一種であるタイマイの甲羅。約1400年前の飛鳥・奈良時代から続くべっ甲の歴史をご紹介いたします。

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東京都指定伝統工芸品
及び経済産業省指定日本伝統的工芸品について

東京を代表する伝統工芸品「江戸べっ甲」は昭和57年(1981年)2月4日東京都指定伝統工芸品に指定されました。東京の伝統工芸品の詳細は東京都産業労働局のHPをご参照ください。

江戸鼈甲 | 東京の伝統工芸品 | 東京都産業労働局

平成27年(2015年)6月18日経済産業省指定日本伝統的工芸品に指定されました。国の伝統的工芸品の詳細は一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会伝統工芸青山スクエアのHPをご参照ください。

江戸べっ甲 | 伝統工芸 青山スクエア

ワシントン条約と養殖事業

 べっ甲製品の原材料はウミガメの一種であるタイマイの甲羅を重ね合わせて生まれる工芸品です、タイマイは日本国内での生息地域は石垣島を最北端とされており、原材料はウミガメを食用とする文化のある国から、残った甲羅のみを輸入してきました。
 おりしも1975年(昭和50年)の国連人間環境会議(ストックホルム会議)において、絶滅のおそれがある野生動植物の国際取引を規制するための条約がワシントンD.C.で採択され、それらの種の保全を図る国際的な潮流に日本も呼応し1980年(昭和55年)に同条約を締結。

 1980年に日本政府がワシントン条約を批准して以来、長らく日本を代表する伝統工芸品であり、ワシントン条約の付属書Ⅰ類にリストアップされているタイマイを原材料とするべっ甲は、条約の規制から除外される留保措置を適応されていましたが、1994年に日本政府が留保措置を撤回した為、完全に原材料の輸入がストップすることになりました。

 以来、べっ甲業界は留保期間中に輸入した材料を使用し、天然資源の保護と悠久の歴史を持つ伝統工芸品の継承を目指し活動を続けてまいりました。
 現在では経済産業省及び東京都の支援の下で実用化試験を重ねたタイマイ陸上養殖の研究終了を受けて、各べっ甲組合に所属する事業者の出資により世界初のタイマイ養殖事業を立ち上げ天然資源保護と伝統継承を両立したサスティナブルな工芸品として伝統を重ねております。

種の保存法について

べっ甲(タイマイ)のお取引について

・べっ甲(以下「タイマイ」)はワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)により、全ての国際取引が禁止されています。
国内取引においても、タイマイの全形を保持した物や原材料の甲羅を取引する事業者には経済産業省の「特定国際種事業者」届け出が必要です。

また、タイマイの製品(べっ甲のメガネ、アクセサリー等)のみの取引を国内で行う場合は規制の対象外となりますが、インターネットオークションサイト等に出品されるような場合は海外との取引は出来ません、ご注意ください。

・タイマイのはく製を無登録で取引する事は違法です!
タイマイなどのウミガメのはく製は登録証の交付を受けなければ取引及び譲渡は出来ません。他人や親戚等に無償で譲渡する事も違法となりますのでご注意ください。

登録証の交付に関しては「一般財団法人自然環境研究センター」のホームページよりお問い合わせください。

べっ甲豆知識

  • Q.普段のお手入れ方法はどうすれば良い?

    ・普段のお手入れ方法
    普段のお手入れは、眼鏡拭きのようなやわらかい布で優しく拭いて頂ければ結構です。
    多少目立つ汚れ等は、普通の固形石鹸を手のひらにぬるま湯でよく泡立て、優しくべっ甲に馴染ませながら洗って頂くときれいになります。ただし、べっ甲は熱に弱いため温度には十分にご注意下さい。
    艶が消えてきた場合は購入店にて「仕上げ直し」をご依頼ください。
    また、べっ甲を滑らして壊さないように下に厚手のタオル等クッションになるものをお引きになるのも良いかと思います。 洗った後は、水気を取り、よく乾かしてからおしまいください。

    ・保存方法「虫食いにご注意!」
    おしまいになる場合は、必ず桐箱やチャックのついたビニール袋にお入れ下さい。べっ甲はお洋服等と一緒で、長期間そのまま放って置くと虫食いが起こる可能性があります。虫食いと乾燥をを防ぐためにも適切な保管をお願い致します。
    また年に1、2度風通しをして頂ければ、なおさら宜しいかと思います。特に冬場など乾燥しがちな時期は、適度な湿度があるところに保管して下さい。しっかりとお手入れをしたべっ甲はいつまでも美しくあなたの愛情に答えてくれます。

    ・不思議なべっ甲の力
    べっ甲は、プラスチック等と違い破損をしても、「水」と「熱」だけを使い「圧力」をかけて“圧着”し、ほぼ修理箇所も目立たず元通りに修復が可能です。
    ただし、破損した箇所が繊細な場所であったり、特殊な装飾、細工が施されている場合は“圧着”ではなく“接着”修理をしたり、場合によっては、修理が出来ないこともございます。また、破損したべっ甲の修理依頼は購入店にてご依頼ください。

  • Q.べっ甲、柄の種類は何がありますか?

    べっ甲には大きく分けて3つの種類がございます。全体的に黒色のものを「黒甲」(くろこう)、黒色と飴色が混ざったものを「茨布」(ばらふ)、全体が透き通った飴色のべっ甲は「白甲」(しろこう)と言い、べっ甲の中でも大変稀少で最も高価なものです。また、商品によってはさらに細かく種類分けしているものもございます。

  • Q.江戸べっ甲って何ですか?

    みなさんは「和」の装飾品といえば、まず京都を思い浮かべる方が多いと思います。ただし「べっ甲」に関しては少し違っています。みなさんもご存知だと思いますがべっ甲は長崎をはじめ、今でも東京、大阪などの地域を中心に製作されております。その中でも特に和装小物に関する歴史が古いのは東京(江戸)なのです。
    その昔、徳川の鎖国時代、長崎にべっ甲細工の技術が伝来し、その後、江戸幕府の大奥文化により江戸で櫛(くし)・笄(こうがい)・かんざし等の和装小物が花開き、その技術がさらに発達、洗練されて来たのが今日の伝統的工芸品「江戸べっ甲」という訳です。

  • Q.鼈甲(べっこう)の名前の由来は?

    江戸の初めまでは「べっ甲(鼈甲)」は「タイマイ(玳瑁)」という呼び名でした、しかし幕府が奢侈(しゃし)禁止令を発した際にタイマイのかんざし等が「贅沢品」として禁止されました、それでもタイマイのかんざしを使いたい町民は「これは、玳瑁(たいまい)の甲羅(こうら)ではなく、鼈(すっぽん)の甲羅だ。」と偽称したのが始まりと言われております。鼈甲の「鼈」の字は訓読みすると「すっぽん」と読みます。

  • Q.江戸時代はべっ甲はいくらだったの?

    現代でもべっ甲製品といえば、眼鏡のフレームやかんざし等に代表されるように高価なものですが、江戸時代のべっ甲は現在よりもはるかに高価なものだったようです。実際、当時の文献には、かんざし一本で百両もした品があったと記されております。
    現在の貨幣価値で一両は約六万円~八万円というのが通説ですから、百両と言えばべっ甲のかんざしがなんと!一本で約六百万円!もしたと言うことになります。特に江戸の遊女の間で「おいらん」と呼ばれる女性は、いかに華やかに魅せるかということで、競うように高価なべっ甲の髪飾りを幾つも身につけていました。とかく江戸の時代よりべっ甲は高価な品として扱われて来たようです。

  • Q.べっ甲はどんな装飾があるの?

    今回はべっ甲に施す装飾として、大変美しい「象嵌(ぞうがん)」、「螺鈿(らでん)」、「蒔絵」、「芝山(しばやま)」についてのお話です。
    まず「象嵌」とは、表面に漆(うるし)を塗りその上に物を置いて埋める技法です。
    「螺鈿」とは、象嵌と同じ技法を用い、漆の上に「細かく切った貝」をモザイク模様の様に置いて柄を作る技法。貝に当たる光の加減により、べっ甲に大変豊かな表情を添えてくれます。
    「蒔絵」とは、漆と金粉・銀粉・貝等を主な材料として絵模様を表す技法です。この装飾はご存知な方も多いと思います。蒔絵の美しさを十分に引き出すため、黒べっ甲に蒔絵を施したものが多いようです。
    最後に「芝山」ですが、これは漆を使わず、埋める柄と同じ輪郭の凹みを彫り、そこに寸分の狂いもなくピッタリはめ込み固定するという、大変高度な技術が必要な技法です。
    べっ甲は膠(にかわ)質で出来ているので漆との相性が良く、漆を利用した装飾には非常に向くという性質があります。お手持ちの古いべっ甲製品にちょっと螺鈿や蒔絵を施したりなんて粋かもしれませんね。

  • Q.失われた職人技「牛甲」「張り甲」ってどんな技術?

    べっ甲の中でも「白甲(甲羅の背の部分、薄黄色に透けている)」は非常に高価なものです。
    江戸時代から続く髪飾り(簪・櫛・笄)には多くの「白甲」が使われましたが、その高値から明治中期~昭和中期にかけて一般庶民向けに「牛甲」という物を代用として使用する手法が生まれました。
    「牛甲」とは一般的な牛の蹄を使用しており、加工をするとべっ甲の「白甲」にとても良く似た製品が出来上がります。よりべっ甲に似せる為に製品の表面に薄く本物のべっ甲を張る「張り甲」等の技術も生まれました。現在では牛甲を利用した製品を作成する技術を持った方はほとんど見受けられなくなり、一部アンティークとして流通しているのみです。
    当時はべっ甲の代用品という立場ではありましたが、今では逆に貴重な物と言えるかも知れません。
    ちなみに今現在、アクセサリーショップなどで売られている「牛製品」は「水牛の角」を利用したもので、「牛甲」とはまったく別のものです。
    「セルロイド」製のかんざしは、今で言うプラスチックのかんざしのようなものです。当時一般庶民向けに大量に作られたもので、またその庶民的な価格から多種多様で洒落たデザインが多く作られたものも1つの特色です。
    セルロイドは発火性があることから現在の日本では生産されていません。

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